よし行こうと、博人は意気揚々とマンションを出た。
ふたりでやってきたのは、隣に建つ商業ビルの二階。フロアの半分を使った広い本屋だった。
博人の会社は、この四十五階から上にあるという。
博人と手を繋ぎながら、児童書のコーナーを探す。
なんともくすぐったい気持ちになり、手にばかり意識がいくせいで捜索はほぼ博人に任せきり。夜遅くてもお客が多い書棚をゆっくりと見て回った。
「あ、ここじゃないか」
博人に言われてそちらを向くと、大きな棚いっぱいに絵本や児童書が並んでいる。
対象年齢ごとにわかりやすく並べられた一画に絵本のコーナーがあり、人気のものや新刊は平積みや面陳列されていた。
美華が原作を担当した絵本はそこにはなく、大人の女性の胸の高さあたりに棚差しであった。
「美華のペンネームは?」
「花村ミカです」
「あ、じゃあ、この辺のやつがそうか」
博人が手当たり次第に美華の絵本を手にしていく。



