溺愛婚姻譚〜交際ゼロ日ですが、一途な御曹司と結婚します〜


満足そうににっこり笑い、博人がもう一度口づける。

これまでのキスはいつも唐突で、気持ちをどうのこうの言っているどころではなかった。
でも、今のキスは違う。
ほんの少しだけ心が通い合ったような、どことなく温かく、それでいて胸が熱くなるようなキスだ。

何度か角度を変えながら、唇が優しく食まれる。
指を絡ませて繋いだ手にギュッと力を込めると、それに答えるように博人が美華の腰を引き寄せた。

今にも唇を割って、彼の舌が入ってくるのでは。
ドキドキしながら博人にされるがままになっていたが、不意に解放され身体が自由になる。


「美華、今から少し出かけよう」


いったいなにを言っているのか。
意表を突く提案に美華はポカンとするばかり。キスの余韻に浸らせてもくれない。


「竹下とかいう男、美華の力になりたいとか、ふざけたこと言ってたよな」


たしかにそんなふうに言っていたかもしれない。
でも、それがどうしたというのか。