溺愛婚姻譚〜交際ゼロ日ですが、一途な御曹司と結婚します〜


大のスイーツ好きを白状してしまえば、もう彼の目を気にする必要はない。

(あぁ、これも最高。どうしてこんなに優しい味なの)

見た目は〝美しい私を見て!〟という具合に自己主張が激しいのに、甘さは控えめでほどよい。和菓子はこのギャップがたまらない。


「よかったら、もっと食べるといい」
「でも……」


食べたいのはやまやま。でも、そこまでさらけ出していいものなのか、さすがに迷う。


「遠慮する必要はないよ」
「……そうですか?」


そこまで言ってもらったら、断るほうが逆に失礼ではないか。
自分に都合よく考える。


「それじゃ、ショーケースを見てきてもいいですか?」


メニュー表ではなく、直にこの目で見て決めたい。
美華は弾むように立ち上がった。