「本気でそうお考えですか?」
「ああ」
沙也加は身じろぎひとつせず、端的に答えた博人をただただじっと注視する。
理解しているのか、いないのか。なんともいえず不思議な時間が流れた。
どのくらいそうしていたか、沙也加がソファに置いていたバッグを手に取る。
「どうもお話が平行線のようですので、出直して参ります」
「えっ……」
(また来るの?)
「何度来てもらっても同じだよ」
小さく声を漏らす美華の隣で、博人が釘を刺す。
それでも沙也加は笑みを絶やさずに静々とリビングから出て行った。
その後を美華が急いで追いかけ、玄関で追いつく。
「あの」
なにか言葉を用意しているわけでもないのに声をかける。



