溺愛婚姻譚〜交際ゼロ日ですが、一途な御曹司と結婚します〜


不安になりながら、ふたりを交互に見つめる。


「博人さん、はじめまして。真行寺沙也加です」


立ち上がって美しいお辞儀をした沙也加は、これまた美しい笑みを浮かべた。

(えっ、はじめまして?)

呆気にとられる美華だったが、博人は彼女が名乗った瞬間に誰だかわかったようだ。ハッとして眉をひそめる。


「……どうしてここへ?」
「父からお話は伺いましたが、納得がいかないので参りました」


もしかしてと、美華の勘が働く。

(もしかして、博人さんのお見合い相手?)

たしか呉服屋の娘だと言っていたはず。着物姿でピンときた。


「沙也加さん、申し訳ありませんが、彼女と結婚すると決めています」


やはりそのようだ。
不意に博人に引き寄せられ、身体がぐらつく。おかげで彼にぴったり寄り添う態勢になり、なんとも恥ずかしい。