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その夜、美華はどうにも落ち着かない気分で博人の帰りを待っていた。
再びふたりの夜を迎える緊張もあり、夕食を作り終えてもそわそわ。じっとしていられない。
博人から『今から帰る』とメッセージが届いたときには、思わず「わっ!」と声が出た。
(じっくり話すような話でもないんだけどな……。ただ断るために会っただけだし)
隣のビルにある会社からここまで、長く見積もっても十分、いや五分だろう。
腕時計をチラチラと見ながらリビングをウロウロしていると、いよいよインターフォンが鳴った。
(博人さんだ!)
ドキッとしながらモニターに向かう。画面の応答をポンとタップすると、そこに女性が映った。当然ながら美華の知らない人だ。
(誰だろう?)
そう思ったそばから『あの、もしもし?』と催促のように問いかけられる。
「あ、はいっ」
美華が応答したとたん、女性の顔が険しくなった。



