溺愛婚姻譚〜交際ゼロ日ですが、一途な御曹司と結婚します〜


竹下の言葉を聞いて、博人が美華をじっと見た。
後ろめたいことはなにもないが、説明を求めているような目線に気持ちが急く。


「あのですね、博人さん、今日は先日のお詫びと、自分の口からお断りしようと思ってお会いしたんです」


今朝、博人に話しておけばよかったが、初めて迎えた朝でバタバタしたため言いそびれていた。


「なるほど。それでは私からも」


眉をピクリと動かしつつ博人が竹下に向きなおり、胸もとから名刺を取り出した。


「ビルドポートの藤堂と申します」


名刺を受け取った竹下が一瞬怯む。


「あのビルドポートの……社長、ですか」


社名と肩書きを見てゴクリと喉を鳴らした。


「以後、お見知りおきを」