「おい、本気で悩むなよ。苦手ならそう言え」

「だ、大丈夫!」

うん、多分……きっと。だって私も今日を楽しみにしてたし、私が乗らなきゃ花菜は乗らないだろうし。雰囲気を壊すわけにはいかない。

咲はなにか言いたそうに私を見ていたけど、ため息を吐いただけでスッと視線を外へ戻した。

なんでいきなりくる気になったんだろう。どう考えてもテーマパークとか好きなタイプには見えないのに。

電車を降りてテーマパークまで歩く。私と花菜が前、黒田くんと咲が後ろだ。

「葵、絶叫系無理なら本当に無理しなくていいからね。あたしひとりでも乗れるし!」

「大丈夫だよ。乗ったことないから乗ってみたい」

ガッツポーズしながら笑顔を浮かべる。せっかくだから思いっきり楽しみたい。

でもそれは寿命を縮めることになるのかもしれないけれど……今はダメ、考えちゃ。

そう心に決めてチケットの列に並び、いざテーマパークの中へ。

「うわぁ、すごい!」

陽気な音楽とともに映画の中にきたような雰囲気。今にもどこかからキャラクターが飛び出してきそうな感じ。

「夢の国だー!」

「神楽さんテンション高いね」

「私、初めてなんだぁ! 映画観てずっと憧れてて! あ、カチューシャほしい!」