一生に一度の「好き」を、全部きみに。


「おはようございます、葵お嬢様」

「おはよう」

部屋を出るとスーツ姿の平木が待ち構えていた。大きな屋敷にお父さんと私、たくさんの執事やメイドたちが一緒に暮らしている。もちろん平木も例外ではない。

お母さんは私が生まれてすぐに病気で亡くなったので、写真でしか見たことがない。

「ねぇ平木」

「はい」

「今日も見送りはいいから」

「それは無理なお願いでございます」

光の速さで即答されて面食らう。

相変わらず頭が堅くて、融通がきかないんだから。