千紘さんのありがた~いお話

 いや、ほんとに……。

 でも、田所さん。

 この人はこの人で、ちょっとめんどくさいところもある人なので、あまりオススメできませんよ、と愁子に睨まれたくないばかりに、心の中で、千紘をオススメ商品ではなくしてみた。

 そのとき、
「真昼」
と呼ばれ、はい、と千紘を見ると、

「お前、門馬に借りた漫画、どうやって返すんだ?」
と唐突に訊かれる。

「……さあ。
 そういえば、借りる算段はしたけど、返す算段はしませんでしたねー」

 龍平くんもなにも言わなかったなー、と思いながら、

「まあ、ショッピングセンター辺りをうろついてたら、そのうち出会うんじゃないですか?」
と答えると、

「あれだけの本を抱えて毎日、うろつくつもりか?」
と不審げに言われた。

「いやあ。
 うろついてたら、いつか龍平くんに出会うと思うんで。

 それから、いつ返すか相談したらいいんじゃないですかね?」

「……なんかお前の周りだけ、すごくゆっくり時が流れてないか?」