千紘さんのありがた~いお話

 



 結局、二人で近くにあるホテルの一階のレストランに行った。

 メニューを見ていた真昼は、ふと、あるとことに気づき、緊張する。

 ……なんだか、これ、デートみたいではないですか、と。

 いや、夫婦でご飯を食べに来ただけなのだが。

 よく考えたら、千紘と二人で食事に出かけたことなど、今までなかった。

 赴任に合わせて、すぐに結婚という話だったので、出会うときには、常になにかの打ち合わせか準備だったし。

 二人だけで、外で珈琲を飲んだのも、式場の打ち合わせのとき、担当の人が一瞬、席を外したときくらいのものだ。

 あのとき――

 千紘さんは、ずっと沈黙していて。

 私は、なにをしゃべっていいのかわからなくて。

 これで結婚とかできるんだろうかなと不安になったんだった……。

 そういえば、こっち引っ越してからは、ビンボーで外食とかできなかったしなー。