千紘さんのありがた~いお話

 だが、人の話を聞かない真昼は、
「今日はレモン、国産のがなかったので、入れるのやめたんですよ。

 あ、そういえば、レシピによると塩麹とか入れるとよかったらしいんですが。
 見当たらなかったので、省いてみました」
と言って、鍋の蓋を開ける。

「塩麹もレモンも省いて、お前は、レシピのなにを参考にしたんだ」

「まあまあ。
 こちらは、ポン酢でお召し上がりください」

「……やっぱり、ただの豚と白菜の鍋だよな?」

 まあいいじゃないですか、と言いながら、真昼はまた違う酒を出してくる。

 ぐつぐつ煮える鍋もよく冷えた冷酒も美味しかった。