千紘さんのありがた~いお話

「はい、漫画。
 ちょっと重いよ」
と渡すと、

「ありがとう」
と言って、ゲームの入った可愛い紙袋を渡してくれる。

「そういえば、真昼さん、土曜の夜、ドレスで自販機の前にいなかった?」

「え?」

「いや、親戚の家から夜遅く帰るときに、一瞬見ただけなんで違うかもだけど」
と言ったが、真昼は、

「ああ、うん。
 私だよ」
と言う。

「お姑さんが船で来たから会いに行ったの」

「……真昼さん、やっぱり人妻なんだね。
 気のせいかと思ってた」
と言うと、真昼は、

「気のせいって、なに……」
と言う。

 いや、人妻にしては、いろいろと足りないものがあるような、と龍平は思っていた。

 落ち着きとか、色気とか、指輪とか。