千紘さんのありがた~いお話

 


 日曜日は、二人でゆっくり過ごし、月曜日の朝。

 出かけようとしたら、真昼が北側の寝室の窓から外を見ているのに気がついた。

「なにしてるんだ?」
と訊いてみる。

「ああ、すみません。
 此処からの眺めが好きなんですよ。

 この辺り、他に高い建物がないので、此処からでも町が一望できるんですよねー。

 だから、此処から見下ろすと、なんか町を征服したみたいだなーと思って」
と真昼は笑う。

「莫迦か……」

「行ってらっしゃい。
 あの……」
と真昼は言いかけ、やめた。

 なんだろうな、と思いながら出かける。

 車に乗って学校に向かいながら、今の真昼の言葉を思い出していた。

 三階から見下ろしただけで町を征服したとか、莫迦じゃないのか。