千紘さんのありがた~いお話

 まあ、こんなところで、ひょっこり顔を覗けてくるのは、変質者じゃなくて、タヌキか猿のような気もするが……。

 真昼はなにも気にせず降りて、呑気にコーヒーを買っている。

 ああ、やっぱり頼むんじゃなかった、早くしろ、と通りかかる車のライトで真昼の姿が照らし出されるたびに、落ち着かなくなる。

 ようやく真昼が戻ってきて、缶コーヒーをくれたので、すぐに車をスタートさせた。

「お城みたいですねー」
とふいに真昼が言った。

 港の方を見ているようだった。

 確かに城のように大きなその船は、まだ煌々と灯りを放っている。

 中では酒やカジノに興じているうちの親のような連中がまだ遊んでいるのだろう。

 寝ろ、とその体力に感心しながらも思っていると、
「夢のような一夜でした」
と真昼は溜息をつく。

「このまま連れ去って欲しいなと思うくらいの」

 俺の許から……?