千紘さんのありがた~いお話


 



「カジノデビューしそびれましたねー」

 帰りの車で真昼は千紘に言った。

「すって終わりだろうが」

「ビギナーズラックがあるかもしれませんよ。

 っていうか、千紘さん、なんで呑まなかったんですか」

 千紘はずっとノンアルコールのカクテルを密かに頼んでいたらしいのだ。

「あっ、お金がないからですかっ?」

 代行代を心配してのことかと思い、そう訊いて、

「莫迦か。
 そのくらいはあるだろ。

 っていうか、金もらったろ」
と言われる。

 結局、二人がうるさいので、麗花はずいぶん減額して、本当に小遣い程度の金を二人に分けてくれたのだ。

 あまり固辞しても、これ以上は失礼かと思い、受け取ったのだが――。