千紘さんのありがた~いお話

 ぼんやりとした真昼の顔を見、千紘は、
「さては、釣書も読んでないな」
と言ってくる。

 はあ、代理なもので、どっちもいただいてなくて……と真昼は思っていた。

 ざっくりな峰子は、
「とりあえず、来ればいいのよ~。
 当日、私も行くから大丈夫よ~」
と言って、どちらもくれなかったのだ。

「俺の事情は聞いているか」

 聞いてません……。

「だが、見合いに来たということは、お前も、相手はともかく、結婚する意思はあるということだな」

 ありません。

 確かに、そろそろ結婚のこととか考えなくもなかったが。

 それは周りがうるさいからで。

 自分から結婚したいなと思うようなことは、まだなかった。

 話を聞いてみると、どうやら、千紘は大学で講師をしているようだった。