千紘さんのありがた~いお話

 


 船の中には、いくつかのレストランがあるのだが。

 麗花がご友人たちと別れ、真昼たちを連れていってくれたのは、落ち着いた雰囲気の一番立派な店だった。

 最近は、こういう船でもカジュアルに楽しめる店もあるようなのだが、真昼たちのために此処を選んでくれたようだった。

 デザートの前、一息ついた頃、
「真昼さん」
と麗花が呼びかけてきた。

 麗花は、すっと封筒をテーブルの上で滑らせる。

「少しだけど、お小遣いよ」

「えっ、あのっ」

 全然少しではなさそうな厚みなんですが……。

「千紘が自分たちだけでやっていくというから、今まで特に援助もしなかったんだけど」
と言い出す麗花に、

「えっ、いえ、お義母様っ。
 あのっ、貯金はありますからっ。

 私が手をつけたくないだけでっ」
と慌てて言う。