千紘さんのありがた~いお話

 ……まあ、この人の場合は、悩まなくても、なにを着てもお貴族様みたいだしな、と千紘を見る。

 千紘は、
「インフォーマルなら別にこれでいいだろ」
と学校に着ていっていたスーツでそのまま来ているのだが、本人の顔つきと雰囲気のせいか、このゴージャスな空間にとても馴染んでいる。

 そのあと、麗花たちが、船内を案内してくれた。

 いかにもリゾートといった雰囲気のプールサイドデッキ。

 海に落ちていく夕日を眺めながら、真昼は、こんな空間に居た人に、

『これで一食分、浮きますっ』
 などと言ってすみませんっ、と思っていた。

 そのとき、麗花の友人のひとりがこちらを振り返り、笑って言う。

「本当に上品なお嬢さん。
 何処に出しても恥ずかしくないお嫁さんでいいわね。

 うちなんてね……」
と話し出すその友人に、にっこり微笑む麗花は、昨日、この嫁が口走っていたショボイセリフを言うつもりはないようだった。