千紘さんのありがた~いお話

 



 知らない大人についてっちゃ駄目とか言うけど――。

 この人、俺より幼いよなーと思いながら、龍平は、なにもかもが怪しい真昼が自分の陰からひょっこり顔を出して、表通りを窺っているのを見た。

 今、なにかから隠れたようだが。

 なんなんだろうな……。

 金がないと言っていたから、借金取りに追われているとか?

 いや、着ている服も持っているバッグも、なんだかいいものっぽいし。

 ちょっと変だけど、立ち居振る舞いもお嬢さんっぽいから、貧乏とかじゃなさそうなんだけど、と思っているうちに、真昼は近くのスーパーの壁にある時計を確認すると、

「あっ、じゃあね。
 いろいろとありがとう」

 さよーならーと手を振り、去っていく。

 夕暮れのショッピング街から細い道へと消えていくその姿を見て、龍平は笑った。

 あまり大人らしくない大人だなと思ったからだ。

 大人の威厳も色気もない。