千紘さんのありがた~いお話

 そのあと、なんとなく、隣のゲームコーナーを眺めて現実逃避していると、龍平もゲームを見ていた。

 古いアドベンチャーゲームのソフトを眺めているので、
「それ、面白いよねー」
と通りがけに言うと、

「持ってるの? 卒業生」
と振り返り、言われる。

「……真昼」
と真昼は名乗った。

 名字を言わなかったのは、堂々と千紘の妻だと名乗る自信がなかったからだ。

 一年だけの仮の妻だしな、と思いながら、
「それ、貸してあげようか」
と真昼が言うと、

「ほんと?
 じゃあ、漫画貸してあげるよ」
と龍平は言ってくる。

 ……なんか学生時代に戻ったみたいだな。
 漫画やゲームの貸し借りなんて、と思いながら、
「ありがとう」
と真昼は龍平に笑いかけた。