千紘さんのありがた~いお話

 いや、だから卒業生じゃない、と思いながら、真昼が、
「いや、晩ご飯なににしようかなーと思って」
と言うと、彼はチラと壁の時計を見、

「もう五時半だけど?」
と痛いところをついてくる。

「……そうよね。
 そろそろ決断しなくちゃね」

「なんの決断?」

「少ないお金と材料でなにを作るか」

「お金ないの?
 貸してあげようか」
と高校生に言われてしまう。

「いや、結構よ……。
 ありがとう。

 君、いい人ね。

 でもいいの。
 お金ないのに呑みに行ったせいだから、このビンボー、自分で身にしみてわからせないと。

 ……欲しい本も買えないし」
と漫画の方をチラと見ると、

「漫画読むの? 大人なのに」
と言われた。

「君ももうすぐ大人でしょ。
 一、二年経ったら読まなくなるとでも思ってるの?」
と言ってやると、確かに……と龍平は笑っていた。