お前が俺を好きになるかはわからないけどな。

 例えば、門馬が同級生だったら、あいつ、遠慮することなく、もっと強く押して出てたろうし」

 真昼は笑い、

「どんな状況でも、私は千紘さんを好きになりますよ」
と言った。

「だって、千紘さんが私を好きだと思ってくれる気持ちより、私が千紘さんを好きだと思う気持ちの方が重いから」

「なんでだ?」

「だって、私は中吉で、千紘さんは、吉ですよ。
 私の愛の方が重いです」

「占いじゃないか……」

 だが、そこで、真昼は気がついた。

「……もしや、愛の重い女はお嫌いですか?」

「いや、中吉程度の愛なんだよな……?」

 そのとき、ふっと手があたたかくなった。

 千紘が手にしていたチョークの箱を左手に持ち替えたな、とさっき思ったのだが。

 空いた右手で、真昼の手を握ってきたのだ。