千紘さんのありがた~いお話

 



 基本、料理は得意じゃないので、日々、困っている。

 いや、得意じゃないというか、あまりやったことがないというか。

 大学は寮暮らしで、ご飯ついてたし。

 会社には自宅から通ってたしな~。

 そんなことを思いながら、真昼は夕食の買い物に出たついでに、書店でレシピ本を眺めていた。

 いや、今はレシピ本を買うお金も、材料を買うお金もないのだが。

 いずれ買おう、と思って眺める。

 うーん。
 今日は鍋にしようかななんて思ってたんだけど。

 鍋も結構材料いるよなー。

 実家だったら、おばあちゃんちからもらった野菜がふんだんにあるのに、などと考えていた真昼は背後に誰かが立っているのに、すぐには気づかなかった。

 振り向くと、龍平が立っていた。

「うわっ。
 こんにちはっ」
と真昼が言うと、

「なにしてんの、卒業生の人」
と龍平は訊いてくる。

 龍平は学校帰りのようで、制服姿で鞄も持っていた。