千紘さんのありがた~いお話

 会議が終わったあと、最後まで机を片付けてくれていた龍平が窓の外を見ているので、

「なにを見てるんだ?」
と千紘は訊いてみた。

 昨日、真昼と居たグラウンドの隅辺りを見ていた気がして、どきりとしたからだ。

 すると、龍平はなにか思い出したように笑って言ってくる。

「せんせー、昨日、面白い卒業生がそこの金網に張り付いてたんですよ」

 どうやら、真昼のことらしい。

 ……いや、そこは、可愛い、とか、綺麗な、じゃないのか?

 俺なら、真昼が金網に張り付いていたら、動物園のミーアキャットが金網越しにこっちを見てるみたいで。

 真っ先に、可愛いと思ってしまいそうだが、と思いながら、
「そうか」
と言った。

 龍平が特に真昼に気がある風でもなかったので、ホッとする。

 すると、龍平が訊いてきた。

「そういえば、先生って結婚してるんだっけ?
 奥さん、どんな人?」

「……まあ、変わってるかな」
と昨日、田所に言ったのと同じことを言うと、

「だろうね」
と龍平は言ってくる。