千紘さんのありがた~いお話

『わかりました。

 少し考えさせてください。

 いえ、そういうわけではありません』

 なんとなくだけど

  なんとなくだけど……

 なんとなくなんだけどっ。

 誰か代わりの先生が見つかったから、もう大学に帰ってこいって話なんじゃっ、と真昼は思っていた。

 だが、此処から去る、と言うことは、女生徒よけに雇われた、この仮の妻は、もういらないということではないだろうか。

 ごくり、と真昼は唾を呑み込む。

 ちょっぴり、もてあそばれたりもしましたが、もともとは偽装結婚で雇われた妻。

 もういいよ、お疲れ様、ポイ、とか、されてしまうのではないでしょうか。

 今、ドアの外に黙って立っている千紘さんは、

「此処で契約は終わりだ。
 今までありがとう、真昼」
とか言おうと思って、立っているのではっ。