千紘さんのありがた~いお話

 



 眠れないんですけど。

 一体、さっきの電話はなんだったのでしょう。

 町の灯りの差し込む寝室で、真昼が何度も寝返りを打っていると、ひたひたと廊下を歩く音がした。

 ひたひた……

     ひた……

 千紘さん、お手洗いだろうか、と寝室の前に止まった足音に思う。

 寝室の向かいがトイレだからだ。

 だが、千紘はそこから動かなかった。

 ……なんで動かないんですか。

 怖いんですけどっ。

 ドアを開けて、どうしたんですか? と訊けばいいだけなのに、真昼は寝たまま、じっとしていた。

 よく知っている人間の、いつもと違う行動は、なんだかいろいろ想像を巡らせてしまって、ちょっと怖い。