千紘さんのありがた~いお話

 な、なんですかっ?

 なんのお話なんですかっ?

 さっきの愛人説がまだ頭にあったのだが、それにしては敬語だ。

 相手の方はずいぶん年上だとか?
と思ったせいで、北坂先生を思い浮かべてしまう。

 あのあと、写真を見せてもらったが、こんな風に歳をとりたいと思うような、上品な美人だった。

「わかりました。
 少し考えさせてください。

 いえ、そういうわけではありません」

 それから、また、はい、はい、と相槌を打って、
「失礼します」
と千紘は電話を切った。

 な……なんの電話なのですかっ? 千紘さんっ、
と真昼は千紘を目で追っていたのだが。

 千紘はスマホを手に、考え事をしているようだった。