千紘さんのありがた~いお話




「千紘さん、千紘さん、千紘さん」

 店を出て、ほろ酔い気分で帰ろうとした真昼だが、違う場所に別の占い師のブースがあるのに気がついて、千紘の腕を引く。

「実はあっちがよく当たる占い師さんかもしれませんっ」

「……誰も並んでないようだが」

「ちょっと行ってきますっ」
とダッシュで行った真昼はワンコインで、すぐに占ってもらって、紙をもらい、戻ってきた。

「どうだった」
と訊く千紘に、

「ちょっとビックリしたんですけど」
と真顔で紙を見ながら、真昼は言った。

「なんっにもっ、当たってなかったですっ」

「……そんなことがあるのか」

「初めての体験です」

 普通、ひとつ、ふたつは当たっているものだが、本当になにひとつ、当たっていなかったのだ。