千紘さんのありがた~いお話

 



 少しうとうととしていた真昼は、千紘が立ち上がり、自分の顔を覗き込んでいるのに気がついた。

 ち、千紘さん、どうされました?

 ……千紘さ……

 おや? どうしたことだ。

 呪いがかかったように、目が(ひら)かない。

 疲れのあまり、金縛りにあったように動けなかった。

 ち、千紘さーんっ、と心の中で叫んでいると、千紘は、また、あの主に、こちらが眠っているときにだけ聞かせてくれるやさしい声で、

「おやすみ、真昼」
とささやいて、そっとキスしてきた。

 寝ているのにキスしていきましたよっ。

 なんででしょう。
 起きているときより、遥かに、やさしいキスで。

 すごく、思いやりというか、愛情というか、感じますよ。