千紘さんのありがた~いお話

 



「待て」
と手をつかまれ、真昼は止まる。

 昨夜はあまり寝てないうえに、ひとりでウロウロして楽しかったけど、神経を使ったし。

 できるだけ、人でぎゅきゅうな公共交通機関を使いたくなくて歩いたしで、もうクタクタなので、早く寝たかったのだが、千紘は、

「まさか、おやすみなさい、と言って、寝る気じゃないだろうな」
と言ってくる。

 真昼は少し考え、

「グ、……グンナイ?」
とつたない英語で言いかえてみた。

「いや、おやすみの言い方に問題があるんじゃない」
と小突かれた。

「二人で旅に出てるのに、おやすみなさい、とこのまま寝る気かと訊いてるんだ」

「あ、明日早いですよ、千紘さん」

「そうだな。
 だから、早くしよう」