千紘さんのありがた~いお話

 



「明日は奈良にも行ってみたいです」

 風呂上がり。
 それぞれのベッドに腰掛け、軽く二人で呑んでいたとき、真昼が言ってきた。

「なんで急に奈良だ」

「京都といえば、奈良、大阪では?」

「修学旅行か……」

 まあ、確かにこいつ、今もそういうノリだな。

 もうちょっと色気を出してくれないか。

 せっかく二人きりで旅に出ているのに、と千紘は思う。

 真昼にそんなものを期待しても無理だとわかってはいたのだが。

「まあ、奈良に行ってもいいか。
 まだ明日は土曜だし、俺も奈良は久しぶりだし」