千紘さんのありがた~いお話

「ほんとよかったわねー、千紘くん。
 素敵なお嫁さんをもらって。

 何度か、孫にねだられてゲームを買いに行ったとき、見たのよ、真昼さん。

 生徒さんたちとも打ち解けてらして、千紘くんの仕事をよく支えてると思うわ」

 いえ、すみません。

 それは、ただの趣味です……。

 しかも、主に打ち解けているのは、他校の生徒さんです……。

 北坂先生は、愁子に、あれが千紘先生の奥さんだ、と聞いたという。

「田所……、いろんなところでしゃべり過ぎだ。
 月曜日、シメておこう」
と電話を切ったあと、呟く千紘に、真昼は、

 いやいやいや。
 何故、私が妻だと隠さねばならないのですか。

 私は、皆様にお見せするのが恥ずかしい妻なのですか。

 貴方、そもそも、そこそこいいから、妻として表に出しても恥ずかしくない、とおっしゃって結婚したのではないですか。

 っていうか、月曜日、田所さん、千紘さんにシメられるのか。

 こんな先生に呼び出されて叱られるとか。

 私が高校生だったら、余計にときめいてしまう状況なんだが。

 ……千紘さん、私もシメてください、まで思ったところで、程よく、ホテルにタクシーが着いたので、正気に返ったのだが。