千紘さんのありがた~いお話

「源泉かけ流しだそうだぞ。
 疲れたろう。

 ゆっくり入ったらどうだ」
と室内からガラス張りの風呂を眺めていた真昼は、千紘に言われた。

「あ、はい。
 でも、千紘さんの方が昨夜からお疲れでしょうから、お先にどうぞ」
と言って、

「嫌味か……」
と言われてしまう。

 いやいやいや。

 もう浮気を疑っているわけではありませんよ、と真昼は苦笑いする。

 さっき、タクシーで移動中に、北坂先生が心配して、かけて来てくれたのだ。

 昨夜、遅くに帰ったせいで、真昼が怒っていて、それで千紘が飛んで帰ったのではないかと思ったらしい。

 まさか、浮気を疑っていたとは思わなかったようだが。

 千紘がその話をすると、北坂先生は笑い、
「貴女のような可愛らしいお嬢さんにヤキモチ妬かれるとか、若返った気がして、嬉しいわ」
と笑っていた。