千紘さんのありがた~いお話

「だって、田所さんが」
「また田所か」

「いえ、田所さんは、北坂先生をびっくりするような美人だと言っただけです」

「まあ、そうかな。
 俺も初めて見たときは驚いた。

 目の覚めるような美人というのは、ああいう人を言うんだな」

 うっ。
 また堂々と言い放ってますよ、この人、と思いながら、真昼は言った。

「それで、その目の覚めるような美人の方が、千紘さんを千紘くん、千紘くんと呼んで可愛がっていると――」

「田所め」

「いえ、半分は千紘さんがおっしゃったんですよ。
 お風呂で」

「……疲れてたんだな」
と言ったあとで、千紘は言う。

「遅くなったのは、山で道に迷ったからだ。

 北坂先生のご主人が陶芸家で、お二人で山に住んでらっしゃるんだ。
 なかなか素敵なおうちだぞ。

 古民家をリノベーションしたとかで」