千紘さんのありがた~いお話

 というわけで、と真昼は言った。

「みっしり観光客の人が居る京都に来て、ちょっとクラクラしてしまいまして。

 寺とか見て、歴史の重さに潰されそうになりながら。

 なにかこの町にご無礼があったらと思うと気が気じゃなくて」

「……どうやって、ご無礼を働くつもりだ」

「いや、そういう気分だったというだけです。
 で、落ち着かなくなって、早く帰りたくなったんです」
と言うと、千紘は笑う。

「そうだな。
 早く家に帰ろう」

 そう言い、そっとカウンターテーブルの上に置いていた真昼の手に、おのれの手を重ねてきた。

 真昼は赤くなって、うつむいたあとで、気づいた。

「そういえば、千紘さん、浮気されてたんでしたね」

「決定事項のように言うなよ。
 っていうか、何処を話が曲がりくねってそうなった」
と千紘は眉をひそめて言ってくる。