千紘に連れられ、路地を歩くと、町家を改造した隠れ家的な店がいろいろとあった。
なんか狭くて落ち着くな、とそのうちの一軒に入った真昼は思う。
京都の旬の食材を使ったという料理と美味しい日本酒とカクテル。
カウンターの隅っこで千紘と二人呑んでいると、ようやく、ホッと出来た。
「京都、人が多くて。
バスとか恐ろしくて乗れないくらいで。
最近、すっかり人の居ない町に慣れてるもんですから」
「門馬たちに殴られるぞ」
と言われ、いえいえいえ、と真昼は手を振る。
「落ち着くって言ってるんですよ~。
この間、おばさんのところに行ったとき。
山を越えたら、あの町が見えてきて。
最初に引っ越してきて、山から町を見下ろしたときには、一体、何処まで連れて来られたんだろうとか思って、不安しかなかったのに。
町が見えたら、ホッとしました。
ああ、自分の住んでるところに帰ってきたんだな~って思ったんです」



