千紘さんのありがた~いお話

 



 ……で、そんな苦労をして、町に戻ったら、深夜一時だったのだ。

 真昼はそれでも自分を起きて待っていてくれた。

 昨夜、無理やり手篭(てご)めにしたのに。

 真昼、ありがとう、と思った千紘は、疲れと眠気と感謝でぼんやりした頭のまま、ただひたすら真昼に、
「すまない」
と繰り返していた。

 ところで、何処で話がおかしくなって、俺が浮気した話になったんだろうな?

 北坂先生を送っていったって、誰かに聞いてたみたいなのに、と思いながら、千紘は、窓の外を見る。

 もう福山辺りまで来ていた。

 駅から城を眺めながら、やっぱり、おかしくなってくる。

 俺は、なんでいきなり、こんなところで城を眺めてるんだ、と思ったのだ。

 本当に真昼と居ると飽きないな、と思いながら、千紘はひとり声を出さずに笑っていた。