千紘さんのありがた~いお話

 千紘はご飯も食べていなかったようで、ぼんやりと宙を見つめたまま、

「……うん。
 美味いよ」
と言ってくる。

 どうしよう。

 なにもかも悪い方に解釈してしまうんだが。

 北坂先生のことを思って、ぼんやりしているように見えてしまう。

 お風呂に入った千紘に外から訊いてみた。

「千紘さん、北坂先生を送っていかれたと聞きましたが。
 保健の北坂先生とは昔からのお知り合いなんですか?」

「……そう。
 それで、今だに、可愛い可愛いと言って可愛がってくれるんだ……」
と千紘は、ぼうっとしたまま言ってくる。

 この人、今、堂々と言いましたよっ。

 真昼の頭の中では、千紘が年上の美女に可愛い可愛いと頭を撫でられていた。

 そして、何故か、美女は183センチある千紘より背が高い。