千紘さんのありがた~いお話

「ああ、すまない、真昼。
 遅くなって。

 北坂先生を送って行ったら、家がすごい山の中で。

 此処まで来たんだからとお茶をご馳走になったんだが……」

 そこで千紘は何故か沈黙する。

 お茶をご馳走になったんだがっ?

 ……そのあと、なにがっ?
と身を乗り出したが、千紘は溜息をついたあとで、

「心配かけたな」
と言って、ポンポン、と真昼の頭を叩いただけだった。

「あ、いえ。
 ご無事でなによりです」
と戦から帰った殿を迎えるように言い、風呂に入って寝る、という千紘の後をついて歩く。

「ご飯は」

「いいよ。
 自分でやるから、お前は寝ろ」

 そこで千紘は振り返り、
「真昼」
と呼びかけ、真昼を見つめて、また沈黙した。

 千紘さんっ、なにがあったんですかっ、と真昼は胸が苦しくなる。