千紘さんのありがた~いお話




 も、もうすぐ一時なんですけど。

 何故帰ってこないんですか、千紘さんっ。

 あまりにお腹が空いてしまったので、真昼は、十一時過ぎにひとりで晩ご飯を食べた。

 千紘さんがお好きなざる蕎麦なのに。

 ……途中でなにかあったのでしょうか。

 警察に連絡してみようかな。

 そう思ったとき、車の音がした。

 慌てて北側の部屋に走っていくと、車のライトが見えた。

 千紘さんだっ、とカーテンを開け、外を見る。

 窓からは駐車場は見えないのだが、明るくなっている位置からして、千紘の車が入る場所だと当たりをつける。

 やがて、階段を上がってくる音がした。

 鍵を開けようとしたので、こちらから鍵を開け、

「千紘さんっ」
と叫んでドアを開けると、憔悴した千紘がそこに立っていた。