千紘さんのありがた~いお話

 気分良く席に着くと、千紘が言ってきた。

「お前、今日、学校の裏を通ったな」

 酒瓶を持つ真昼の手が止まる。

 み、見てましたかっ、とごくりと唾を吞み込んだ。

 あの女生徒さんとはどうなりました? 思っている自分に向かい、千紘は言ってくる。

「高校生とはいえ、いい年の男だ。
 みだりに口をきいたり、親しくするなよ」

 そっちですか……。

「門馬くんって子ですよね?
 ちょっと話しただけですよ。

 そんなことより――」
と言いかけた真昼を千紘が見上げる。

 凶悪なのに、目だけは綺麗な千紘に見つめられ、真昼は酒瓶を手にしたまま固まる。

 そんなことより、明らかに貴方に気がありそうな女生徒は誰なんですか、という言葉が出てこなかった。

 所詮、お飾りの妻だしな。

 いや、飾られるほどの代物ではないが――。