真昼に泣かれたら、洗脳から目が覚めそうだ、と千紘は思っていた。
恋愛の神、大谷からの強気に出るための洗脳だ。
真昼を置いてきてしまったが、部屋でひとりで、しくしく泣いていたりはしないだろうかと不安になる。
ジリジリしながら夕方を待ち、これを持って行ったら帰れると、プリントを手に保健室を覗いた。
「ああ、千紘くん、ありがとう」
と養護教諭の北坂に言われる。
いえ、とちょっと赤くなり言ったあとで、
「失礼します」
と出ようとしたが、後ろですごい音がした。
振り返ると、北坂が倒れている。
「北坂先生っ」
と千紘は駆け寄った。



