千紘さんのありがた~いお話

「うちはさー。
 めんどくさいと、夏は冷奴と刺身が多いのよ。

 あとは枝豆ー」

 あ、いいですねー、と笑って別れる。

 少し鼻歌を歌いながら、買い物を済ませ、外に出ると、菜子(なこ)から着信していた。

 書店とビニールハウスの間の細い道を通って家に帰り、アイスを食べながら、菜子に電話をかけた。

 すると、しばらく話したあとで、菜子が、

『真昼ー、なんかいいことあったー?』
と笑って言ってくる。

「え?」

『機嫌いいじゃん』

 ……いいえ。
 機嫌などよくありません。

 旦那様に、手篭(てご)めにされたというのに、と思いながら、アイスを食べつつ、菜子の話に相槌を打っていた。