千紘さんのありがた~いお話

 



 真昼がスーパーで豆腐を見ていると、
「こんにちはー」
と声をかけてきたものが居た。

 真昼の正体(?)を知る数少ない人物。

 田所愁子(たどころ しゅうこ)の母だ。

 結婚するのが早かったらしく、かなり若い。

「今日はお豆腐ですか? 奥さん。
 冷奴(ひややっこ)?」

 うわー、と真昼は思っていた。

 奥さんと呼ばれることがあまりないからだ。

 龍平たちは、真昼さん、と呼んでいるし。

 奥さんなんて呼ばれたら、一気に年齢が上がった感じがして嫌かも、と思っていたのだが。

 まったく嫌ではなかった。

 それどころか、照れてしまう。

 たぶん、それは、『千紘先生の奥さん』だからなのだろう。