「ちょっとあんた、今度の金曜、見合いに行ってきてくれない?」

 あの日、仕事から帰ってきて、ただいま、も言わないうちに、真昼は、叔母の峰子(みねこ)にそう言われた。

 ええー? と真昼は眉をひそめたが、

「ちょっと行って帰ってきたらいいじゃないの。

 困ってんのよ。
 予定してた子が駄目になっちゃってさ。

 ほら、例のチケットあげるから」
と峰子に言われる。

 ちょっと行って帰ってきたらいいねえ……。

 見合いってそんなものなのか? と思いながらも、保険の外交員をやっている峰子に軽く売られる感じで、真昼は見合いに行った。