千紘さんのありがた~いお話

 



 寝てないじゃないですか、千紘さん。

 真昼は風呂から出て、そっとテレビの間を覗いてみた。

 千紘はニュースを見ながら、まだ、呑んでいる。

 今日はお酒がすぎますよ、千紘さん。

 この妻に迫ろうとするなんて。

 真昼は口の中だけで、
「おやすみなさい、千紘さん」
と言い、そうっと部屋に戻ろうとした。

 音を立てずに、寝室に入ろうとした瞬間、背後に人の気配を感じた。

 今度こそ、霊っ? と振り向いたが、千紘だった。

「なんで、そこに居るんですかっ」

「俺の家だからだ」

「なんで、入ろうとするんですかっ」

「お前が俺の妻だからだ」

 ごもっともなような、そうでもないような。