千紘さんのありがた~いお話

 いやいやいやっ、と千紘がすりガラスの扉を開けたわけでもないのに、真昼は身体を隠すように、深く湯に浸かる。

 毎日、腹筋とスクワットと腕の運動を三十日くらい続けないと、一緒には入れませんっ。

 ……続けたら、入ってもいいと言うわけではないのですが。

 ええ、もちろん……。

 そんなことを考えながら、沈黙していると、千紘は少し正気に返ったように、

「そうだな。
 いきなり、そんなことを言うのも、不躾(ぶしつけ)だったな。

 いや、大谷が深く考えない方がいいから、今、思ったことをそのまま言ってみろと言うので、言ってみたんだ。

 悪かった」
と言って、そのままリビングの方に戻っていってしまった。

 な、なんだったんだ……と思いながらも、真昼は、どぎまぎしていた。

 聞きようによっては、千紘が自分を好きだと言っているようにも聞こえたからだ。