千紘さんのありがた~いお話

「名前は田所さんから聞いてたんですけど。
 本人とも、ゲーセンで会いましたよ、いつか」

 何度かショッピングセンターやラーメン屋でも見かけたが、大谷は常に違う女の子と歩いていた。

「龍平くんのおねえさんと間違われました。
 で、大谷くんがどうしたんですか?」

「いや、あいつはその……」
と言いかけ、止まった千紘は、

「……親思いの立派な奴なんだ」
と言ってくる。

「……そうなんですか」

 そりゃまあ、意外とそんなものかもしれませんねーと思いながら、真昼は思っていた。

 いや、私が訊きたかったのは、なんで今、大谷くんの話が出たのかってことなんですが。

 ところで、私の願いをすべて叶えてくれる話はどうなりました?
と思っていたのだが。

 千紘がそのまま沈黙してしまったので、こちらから、どうなったんですかと訊くのもな~と思い、
「お、お茶でも飲みますか?」
と言って立ち上がった。

 呑んでいる途中で、お茶か水を飲むと、あまり酒が回らない気がするからだ。

 ところが、まだ動揺が続いていたので、足元にあった、自分のバッグを蹴ってしまう。

 すると、中から、千紘の写真が転がり出てきた。