千紘さんのありがた~いお話

「実は……」
と言いかけて、つまったが。

 いや、こういう奴は、すぐに興味がよそに移りそうだから、早く言わなければ、と思い、

「妻に愛されたいんだが、どうすればと思って」
と心のままに言って、

「いや、結婚したことがないんで、ワカリマセン」
とごもっともなことを言われてしまう。

「違う。
 そうじゃないんだ、大谷」
と額に手をやり、頭の中を整理し、

「妻に迫りたいんだが、どうすれば……」
とまた心のままに言って、

「いや、奥さんなんだから、好きなようにすればいいんでは?」
とまたすぐに言い返されてしまう。

「違うんだ、大谷」
とまた、なにも違わないのに言ってしまう。

「可愛い妻なんだ。
 可愛すぎて、結婚しても、まだロクに手も触れてない。

 触っただけで、ぎゃーって言って、逃げてしまいそうな、純粋な妻なんだ」

「今の話を聞いた限りでは、純粋なって言うより、愉快なイメージしかわきませんが……」